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廣木 章博; 山下 真一*; 田口 光正
Journal of Physics; Conference Series, 573(1), p.012028_1 - 012028_4, 2015/01
被引用回数:4 パーセンタイル:79.08(Engineering, Biomedical)放射線橋かけヒドロキシプロピルセルロース(HPC)ゲルを母材とするポリマーゲル線量計の放射線感度向上を目的に研究を行った。電子線照射により作製したHPCゲルを放射線検出液(2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ポリエチレングリコールジメタクリレート(9G)、テトラキスヒドロキシメチルホスホニウムクロリド(THPC)を含む水溶液)に浸漬後、真空パックすることでポリマーゲル線量計を作製した。線照射による白濁度合いは観測波長660nmの吸光度から評価した。ポリマーゲル線量計は、1Gyで白濁し、10Gyまでの線量に対して吸光度増加を示した。単位線量あたりの吸光度増分である放射線感度は、THPC濃度に依存し、HEMA 2wt%, 9G 3wt%, THPC 0.40wt%で約0.06Abs.Gyに達することが分かった。
長澤 尚胤
日本接着学会誌, 41(10), p.420 - 426, 2005/10
植物由来であるポリ乳酸(PLA)は、機械的特性や透明性などが良いことから一番実用化に近い材料であるが、高い融点を有するが約60Cを超える温度域で熱変形し、強度が低下するという欠点がある。放射線橋かけ技術によるPLAの耐熱性改善について検討した。当初、PLAは、放射線照射により分子鎖が切断される放射線分解型の材料であるため、橋かけを助ける助剤を用いた放射線橋かけ法の研究を進めた。1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA),トリメチルプロパントリアクリレート(TMPTA),トリアリルイソシアヌレート(TAIC)が有効であり、3%TAICを用いて最も橋かけしたPLAが約60Cでも熱変形せず、融点以上でも形状を保持した。耐熱性が改善されたPLAは高温に耐える熱収縮材や透明性を保持した射出成形品に応用開発された。良好な生体適合性を有するPLAを放射線橋かけして再生医療材料に応用するため、照射時の温度を変えることによって、橋かけに必要なTAIC濃度を1%に低減化でき、1/5に低線量化できた。この開発した技術によって、プラスチック廃棄物処理問題を解決し、資源循環型社会を構築するために、生分解性プラスチックの利用が増えることが期待できる。
長澤 尚胤; 金田 綾子*; 金澤 進一*; 八木 敏明; 三友 宏志*; 吉井 文男; 玉田 正男
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 236(1-4), p.611 - 616, 2005/07
被引用回数:80 パーセンタイル:97.88(Instruments & Instrumentation)生分解性のポリ乳酸は硬く、透明性のよい樹脂であるが、ガラス転移温度60C以上で変形が起きるため、耐熱性の改善が急務である。これを改善するには橋かけ構造の導入が有効であるため、反応性の多官能性モノマーについて検討した結果、トリアリルイソシアヌレートが橋かけに最も有効であることを見いだした。照射橋かけにより耐熱性が向上したポリ乳酸は、融点(160C)以上でも融解しないことから熱収縮チューブへの応用を可能にした。また、橋かけPLAは結晶化が起こらないため熱湯を注いでも透明性を保持しており、食器類への応用が期待できる。
三友 宏志*; 金田 綾子*; Tran, M. Q.*; 長澤 尚胤; 吉井 文男
Polymer, 46(13), p.4695 - 4703, 2005/06
被引用回数:116 パーセンタイル:94.31(Polymer Science)植物産生プラスチックであるポリL乳酸(PLLA)は、ガラス転移温度(Tg)である約60C以上で軟化する性質を持っており、耐熱性に乏しい材料である。このTg以上での軟化を改善する目的で、PLLAに少量の橋かけ助剤を添加して所定線量の電子線を照射して、高分子鎖間に橋かけ構造を導入して耐熱性をはじめとした諸物性の変化について検討した。さまざまな橋かけ助剤の中からトリアリルイソシアヌレート(TAIC)が最も効果的に橋かけ構造を導入でき、3%TAIC添加で50kGy照射した条件で橋かけしたPLLAがTg以上での軟化を抑制することを見いだした。この橋かけしたPLLAは、結晶化するための分子運動性を阻害するような分子鎖ネットワークを広範囲に形成しているため、低結晶化度を示した。さらにPLLAの再結晶化温度である90Cで熱処理と照射により橋かけしたPLLAのTg以上での軟化を完全に改善することができた。また、プロテナーゼ酵素による生分解性試験の結果、未橋かけPLLA(未照射PLLA)に比べ、橋かけしたPLLAは分解しにくく、橋かけ構造導入によって生分解性を制御できることがわかった。
八木 敏明
第14回放射線利用技術セミナー; 広がる放射線の産業利用講演テキスト, p.67 - 72, 2004/10
生分解性プラスチックは、通常の使用に耐え、使用後は土壌中の微生物によって分解する環境に優しい高分子である。放射線橋かけが難しい生分解性プラスチック(ポリ乳酸など)や天然高分子の多糖類(デンプン,セルロース,キチン・キトサンなど)について、放射線による橋かけ構造を導入する技術開発を行った。ポリ乳酸は放射線橋かけにより、高温(160C以上)にも耐える耐熱性が得られ、熱収縮材への応用が可能である。また、デンプンやセルロースなどは放射線橋かけにより、高吸水性多糖類ゲルが得られ、医療・福祉,農業,衛生用品などへの応用が期待できる。
吉井 文男
原子力システムニュース, 15(2), p.31 - 37, 2004/09
最近技術移転した3つの製品について紹介する。(1)セルロースの誘導体であるカルボキシメチルセルロース(CMC)が濃度10%以上のペースト状照射により橋かけ反応を起こすことを見いだした。そのゲルを充填したマットが床ずれ防止に有効であることを実証し、民間企業が昨年の5月から販売を開始した。(2)橋かけ助剤であるトリアリルイソシアヌレート(TAIC)を添加したポリ乳酸は、30kGyの比較的に低線量で橋かけし、耐熱性が向上したため、熱収縮チューブに応用できた。(3)ポリビニルアルコールを主成分とする電子線橋かけハイドロゲルが創傷被覆材に有効であることをゲル物性測定や臨床試験から明らかにし、実用化した。
吉井 文男
放射線化学, (78), p.26 - 34, 2004/09
多糖誘導体であるカルボキシメチルセルロース(CMC)のペースト状放射線橋かけとその応用,デンプンを原料とするポリ乳酸の橋かけによる熱収縮チューブへの開発、及びハイドロゲル創傷被覆材について、実用化までの技術開発を記した。CMCは濃度10%以上のペースト状で放射線橋かけを起こし、それはカルボキシメチルの置換度や分子量により影響される。橋かけCMCは、手術中に起こる床ずれを防止するマットに応用でき、実用化した。また、CMCゲルは家畜排泄物を効率的に発酵させるための水分制御剤に有効であることを実証した。橋かけポリ乳酸は耐熱性が向上し、熱収縮チューブに応用し、生分解性で透明性のよい製品が得られた。ポリビニルアルコールの放射線合成ハイドロゲルを傷にはる創被覆材に有効であることを実証し、厚生労働省から認可が得られ販売が開始された。
玉田 正男; 瀬古 典明; 吉井 文男
Radiation Physics and Chemistry, 71(1-2), p.223 - 227, 2004/09
被引用回数:71 パーセンタイル:96.47(Chemistry, Physical)放射線加工によるグラフト重合と橋かけは汎用性ポリマーを改質するために有力な手法である。グラフト重合では、キレート機能を基材ポリマーに導入することにより金属捕集材を作製した。得られた金属捕集材は海水中のウラン捕集に応用した。グラフト捕集材を使用した3年間の海域試験で1kgのウランを捕集することができた。澱粉やセルロースの誘導体などの天然ポリマーはペースト状態で放射線橋かけしハイドロゲルとなる。これらのハイドロゲルは橋かけ後も生分解性を維持している。生分解性ハイドロゲルのマットは蓐瘡を防止できることから福祉品として有効である。ハイドロゲルは分解により肥料となるため、使用後の処理が容易である。
吉井 文男
防菌防黴誌, 32(8), p.405 - 412, 2004/08
生分解性材料は、資源循環型材料として今後ますます研究が進み実用化が盛んになると期待している。放射線橋かけは、室温の照射によリ高分子材料を改質できるため、環境に調和した材料開発に有効な技術である。本報告では、放射線橋かけが難しい生分解性プラスチックと多糖類に橋かけ構造を導入する技術開発を行い、以下の事実を見いだした。(1)ポリブチレンサクシネート(PBS)は無機物(活性炭や二酸化ケイ素)の添加により、橋かけ効率の向上と生分解性が促進できた。(2)PBSはトリメタアリルイソシアンレートの1%という極めて低い濃度により効果的に橋かけ反応が起き、耐熱性が著しく改善できた。(3)ポリ乳酸は、トリアリルイソシアンレートの添加により橋かけが効果的に起き、耐熱性が向上し、熱収縮材に応用できた。(4)天然高分子では、多糖類誘導体のカルボキシメチルセルロースやカルボキシメチルキトサンがペースト状で効果的に放射線橋かけ反応が起き、医療・福祉の分野や環境保全材料への応用が可能になった。
Xu, L.*; 長澤 尚胤; 吉井 文男; 久米 民和
Journal of Applied Polymer Science, 92(5), p.3002 - 3007, 2004/06
被引用回数:3 パーセンタイル:12.7(Polymer Science)水に溶解しないフタレート基を有するセルロース誘導体のヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)が有機溶媒のペースト状照射により橋かけすることを見いだした。ペースト溶媒としてアルコール,エーテル,ケトンを用い試験した結果、メタノールが橋かけに有効であることがわかった。この場合橋かけには40%濃度のペーストが最もよく、10%以下及び固体では分解が起こる。橋かけしたHPMCPは、酢酸,シメチルスルホオキサイド,テトラハイドロフラン,ピリジン,クロロホルムなどの有機溶媒を自重の3070倍吸収する。有機溶媒を吸収する材料として今後の応用が期待できる。
The, D. T.; 吉井 文男; 長澤 尚胤; 久米 民和
Journal of Applied Polymer Science, 91(4), p.2122 - 2127, 2004/02
被引用回数:15 パーセンタイル:45.27(Polymer Science)ガラス繊維をフィラーとした複合材は、ボートの材料などさまざまな分野で使用されている。しかし、分解しないため、使用した後の処理に困っている。そこで微生物により分解する生分解性材料を用いた複合材の合成研究を行った。布状のガラス繊維に橋かけ促進剤を含む生分解性樹脂をコーティングし、それを510枚重ねてから熱プレスし、照射を行った。複合材強度へのポリマー濃度や線量の影響を詳細に調べた。板状複合材の最も有効な線量は、100kGyであり最高240MPaの強度のある強靭なものが得られた。この強度はポリエチレンの約10倍である。試料は土壌中に埋めて置くと微生物により分解し、ガラス繊維だけが回収できた。
Zhao, L.; 三友 宏志*; 吉井 文男; 久米 民和
Journal of Applied Polymer Science, 91(1), p.556 - 562, 2004/01
キチン及びキトサンをカルボキシメチル化したCM-キチン及びCM-キトサンは高濃度ペースト状照射により橋かけすることを見出した。橋かけ試料は、シート状に成形できゴム的弾性のあるものである。この厚み5mmのシートを5mm角程度に切り二価の銅イオンによる金属吸着の試験を行った。CM-キチン及びCM-キトサンゲルは、銅イオンの溶けた水溶液に浸すことにより、銅を吸着した。吸着性能は、CM-キチンゲル1は161mg/1g乾燥ゲルに対し、CM-キトサンは172mg/gであった。キトサン誘導体の方が吸着性能がやや優れている。溶離は酸性に移すことにより金属の脱着が起き、再利用が可能である。
Zhao, L.; 三友 宏志*; 吉井 文男; 久米 民和
Journal of Applied Polymer Science, 91(1), p.556 - 562, 2004/01
被引用回数:20 パーセンタイル:54.08(Polymer Science)水溶液中の金属イオンを捕集するため、カルボキシメチルキチン(CM-キチン)及びカルボキシメチルキトサン(CM-キトサン)のハイドロゲルをペースト状放射線橋かけにより合成した。CM-キチン及びCM-キトサンの最適な銅イオン吸着条件を求めた結果、pHは5.5,浸漬時間は2時間であった。銅イオンはpHを酸性側に移行させることにより脱着し、ゲルは再利用できることがわかった。CM-キトサンゲルによる銅イオンの最大吸着量は、グルタルアルデヒドの化学橋かけによる吸着よりも2倍ほど高く、172mg銅/1g乾燥ゲルという値を得た。この結果より、汚れた水や水道水からの微量の金属イオンの除去に有効な吸着剤になることが期待できる。
吉井 文男
高分子ゲルの最新動向, p.150 - 163, 2004/00
高分子ゲル最新動向の本出版依頼があり、放射線合成ハイドロゲルの応用について執筆を担当した。ハイドロゲルについて、水溶性の合成系ポリマーと天然ポリマーについて放射線合成法とそれの応用について述べた。合成系では、ポリビニルアルコール,ポリビニルピロリドン,ポリビニルアルコールの固体,水溶液及び溶融照射の橋かけ挙動を比較し、橋かけに有利な水溶液照射を利用して、傷口に貼り治癒を促進し、はがす時に痛みを与えない創傷被覆材について解説した。天然ポリマーのハイドロゲルについては、多糖類誘導体のカルボキシメチルセルロースやカルボキシメチルデンプンが水をよく混合し、濃度10%以上の糊(ペースト)状で照射を行うと橋かけ反応が起き、ハイドロゲルになる。橋かけには、ペーストの濃度やカルボキシメチル基の置換度に著しく影響され、両因子とも大きいほど橋かけに有利である。応用としては、ペースト試料を波形マットに注入し、照射したマットは保温性がよく、体圧分散が生じるため床ずれが防止できる。
Zhao, L.; 三友 宏志*; Zhai, M.*; 吉井 文男; 長澤 尚胤; 久米 民和
Carbohydrate Polymers, 53(4), p.439 - 446, 2003/09
被引用回数:203 パーセンタイル:99.05(Chemistry, Applied)ポリビニルアルコール(PVA)とカルボキシメチルキトサン(CM-キトサン)のブレンドハイドロゲルを電子線照射により合成し、相溶性やゲルの特性を調べた。CM-キトサンは、PVAゲルのゲル強度を著しく向上させた。その最適濃度は、PVA10/CM-キトサン5/水85の組成である。強度向上の機構は、赤外吸収スペクトルと熱測定の結果から、CM-キトサンがPVA分子鎖にグラフト橋かけ及びからみあい起こすためと考えられる。相溶性については、CM-キトサンが金属イオンと錯体をつくることから、ブレンド中のCM-キトサンが結合した銅の分散性を観察した結果、均一に相溶していることがわかった。ブレンドハイドロゲルには抗菌効果もあることが認められた。
Xu, L.*; 長澤 尚胤; 吉井 文男; 久米 民和
Journal of Applied Polymer Science, 89(8), p.2123 - 2130, 2003/08
被引用回数:8 パーセンタイル:32(Polymer Science)ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)は弱アルカリ性の炭酸ナトリウム水溶液に溶解した。そこでHPMCPと炭酸ナトリウム水溶液とのペースト状で照射した結果橋かけ反応が起こることを見いだし、橋かけ反応へのHPMCPの濃度や炭酸ナトリウムの濃度の影響を調べた。HPMCPは高濃度ほど橋かけしやすく、炭酸ナトリウム濃度としては45%が最も有効であった。ゲルの分解と橋かけの割合をチャールスビー・ロジャックの式で求めた値が実験値とよく一致した。HPMCPゲルは水のほかにメタノールのような有機溶媒も吸収し膨潤ゲルとなる。
Zhao, L.; 三友 宏志*; 長澤 尚胤; 吉井 文男; 久米 民和
Carbohydrate Polymers, 51(2), p.169 - 175, 2003/01
被引用回数:115 パーセンタイル:96.32(Chemistry, Applied)蟹やエビの殻から得られるキチンをカーボキシメチル化したCM-キチン、それを脱アセチル化したCM-キトサンに橋かけ構造を導入するため、10%以上のペースト状で照射した。放射線橋かけには30~40%の高い濃度ほど橋かけ収率が高く、これはセルロースやデンプン誘導体の橋かけと全く同じである。しかし得られるゲルシートの強度は、CM-キチン及びキトサンゲルの方が高い値を示す。橋かけによるゲル分率は、同じ照射線量で比較すると、CM-キチンの方がアセチル基が橋かけに寄与するためCM-キトサンよりも高い。オリジナルのキトサン試料には抗菌活性があり、橋かけによりゲル化させても抗菌活性が保持されていた。
Suhartini, M.; 三友 宏志*; 長澤 尚胤; 吉井 文男; 久米 民和
Journal of Applied Polymer Science, 88(9), p.2238 - 2246, 2003/00
被引用回数:46 パーセンタイル:79.83(Polymer Science)生分解性プラスチックは耐熱性が低いため、応用分野が限られている。放射線橋かけは耐熱性の改善に有効な方法であるため、アクリレート,メタクリレート及びアリル化合物の1分子内に二つ以上の二重結合をもつ多官能性モノマーを添加し橋かけ促進効果について調べた。その結果、生分解性のポリブチレンサクシネート(PBS)の橋かけ助剤にトリアジン環をもったトリメタアリルイソシアヌレート(TMAIC)が1%という極めて低い濃度で効率的に橋かけを起こすことを見出した。ゲル分率から評価した橋かけ収率は、TMAICを添加しない試料は50kGyでほとんど橋かけしないのに対し、1%TMAIC添加試料は85%のゲル分率が得られた。この橋かけにより耐熱性が著しく向上し、熱湯水で全く変形の起こらないものが得られた。土壌中での生分解性は,橋かけ試料でもオリジナル試料とほぼ同様に分解した。
Zhai, M.*; 吉井 文男; 久米 民和; Hashim, K.*
Carbohydrate Polymers, 50(3), p.295 - 303, 2002/11
被引用回数:180 パーセンタイル:98.74(Chemistry, Applied)デンプンがポリビニルアルコール(PVA)ハイドロゲル強度を改善するために添加された。デンプンはPVAを水に溶解した後80-90Cのノリ状態で均一に混合し、照射を行った。デンプンの添加とともにハイドロゲル強度が増大し、8-10%が最も効果的であった。ゲル強度はデンプンを構成しているアミロースとアミノペクチンのうち、アミロースが支配的であることがわかった。このデンプンの効果は放射線分解したデンプンがPVA分子鎖にグラフトし、絡み合いを起こすためと考えられる。
Wach, R. A.*; 三友 宏志*; 吉井 文男; 久米 民和
Macromolecular Materials and Engineering, 287(4), p.285 - 295, 2002/04
被引用回数:58 パーセンタイル:85.14(Materials Science, Multidisciplinary)ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)が20%以上のペースト状態の照射により橋かけ反応を起こした。橋かけHPCは吸水しハイドロゲルとなった。得られたハイドロゲルは温度応答性を示し、35~40Cで著しい体積収縮が起き、温度降下により元の体積に戻る可逆的変化を示した。ゲル強度は線量とともに増大した。このハイドロゲルは、50kGy照射により10kGy照射の3倍大きい強度が得られた。乾燥後のゲルについても照射により著しく強度が増加した。これらの結果から、ペースト状橋かけが機械的強度の向上に有効であることがわかった。また、HPCは酵素分解の結果から、橋かけ後も生分解性を有していた。